トピックス

12月理事会 理事長あいさつ

2017.12.21

さて今年も、いろいろなことがありました。先日の13日に、四国電力の伊方原発の運転差し止め判決が広島高裁で出たのは、司法に社会正義が生きているなと感じた久しぶりの出来事でした。一方で、政治の世界で社会正義が生きていたでしょうか。国政を私物化して国有地を知人に格安で払い下げたり、お友達の学園を特別に認可したり、憲法に基づいて開催を求められた国会を開かずに、開いたと思ったら党利党略で冒頭解散したり、果ては沖縄の小学校の児童の近くに米軍飛行機の部品や窓枠が落ちてきても、「あってはならないこと」というばかりで沖縄に寄り添おうともしない、そういう不正義/不誠実な政治が続くのはどうしてかと考えずにはいられませんでした。そうした時に「忍び寄る権威主義」という新聞記事を読んで、はたと納得しました。自由や民主主義が生きているはずの国で、議会や民意や憲法を顧みないような強い政治体制、いわゆる「権威主義」の政治を支持する人たちが世界でも、この日本でもじわじわ増えているのだそうです。その最たる人が、我が国のトップなのでしょうが、こうした「権威主義」の行き着く先は、たぶんかつての日本が経験した全体主義やファシズムというもなのでしょうが、自由や民主主義がいつの間にか真綿で首を絞められるように窒息させられないよう、駄目なものはダメと一人一人が言い続けなくてはいけません。
さて、一年を締めくくるこの場では、私たちの業界の話でもある社会保障制度について取り上げておきたいと思います。少子高齢化の進行で、医療や介護を必要とする人たちが増えています。これは成熟した国や社会が抱える共通の課題で、年金も含めた社会保障費用が増加するのは当たり前の話です。しかし今、国が血眼になっているのはこの社会保障費用をどうしたら引き下げられるか、自然増を削るか、逆に医療と介護をどうビジネスにしてゆくかです。その結果、この時期に聞こえてくるのは診療・介護の報酬のマイナス改定の大きな声です。直近の報道では、かろうじて診療報酬本体のわずかな引き上げが決まったようですが、肝心の制度はだんだんと改悪されてきています。医療や介護を必要としている人が増えている時に、必要なサービスを削ったり、患者負担を引き上げたり、社会保障費用の自然増を削るのはどう見てもまともな処方箋ではありません。病院の中で、高齢者の治療費がかさむからと言って医者が患者の注射や処置やケアを削ったら、皆さんは医療者の良心にかけて許さないでしょう。だったら、国が医療や介護の制度を改悪をして、マクロ的にもっとひどいことをしようとする時に怒らないでいたら、それは絶対にダメです。そして大事なことですが、診療報酬や介護報酬は、実は皆さんの給料の原資でもあります。安倍首相は、自分が気前よく法人減税し、それを基に財界がため込んだ内部留保を吐き出して、3%の賃上げをしてほしいと経済界に頼み込んでいて、来年の春闘で財界はそれに応えようとしています。それなのに、労働者の1割以上もいる医療介護界の職員給与、賃上げに直結する診療報酬と介護報酬をほんの0.5%程度引き上げてごまかすなんて、とんでもないです。診療報酬本体の0.5%引き上げとは、年間事業収入60億円の当法人に単純にプラスに反映したと仮定して、約3千万円になります。それを地域・法人・職員で均等還元したら、3%の賃上げどころではなく、ここにいる職員のボーナス1万円程度にしか当てられない額です。皆さん、診療報酬改定の意味はこの程度のものなのです。ここは皆さん「ちょっと待って、医療と介護で働く我々をなめるなよ」と、患者利用者を苦しめ、職員給与を置き去りにする政府与党に向けて怒る時です。それならば、社会保障の財源をどこから持ってくるべきかについては時間がないのでこの次にしますが、悲観することはありません。私たちには自分たちで自らの働き方を変えて、労働生産性を高めて、自分たちの給与を引き上げる財源を作り出すという独自の内部的選択肢が残されているからです。これは知る人ぞ知る労使間の大事な論点ですが、時間がありません。詳しくは近くの管理者まで問い合わせてください。今日のお話の中身をよく噛み締めていただき、来年も役職員をあげての頑張りを期待して、横浜勤労者福祉協会からのご挨拶とします。
1年間ご苦労様でした。