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3月理事会 理事長あいさつ

2019.3.27

例年慌ただしい年度末の3月ですが、今年は内部的には出来上がった長期計画と現実化しそうな増床計画を念頭に置いた次年度の事業活動・予算計画を作ることや、外部的には4月に統一地方選挙が迫り、平成も終わるという状況もあるせいか、いつもより慌ただしく過ぎているように感じます。

この統一地方選挙ですが、横浜ではカジノや中学校給食といったご当地問題がある他に、生活に密接する問題として消費税増税10%引き上げや地方自治体運営による国民健康保険の保険料負担の問題がクローズアップされており、最近では安倍首相が自衛隊員募集に自治体が協力しないと言い出して、それにかこつけて憲法改正を意気込み、自治体に協力圧力をかけ、募集した若者に何をさせようとしているのか、それらも問うてもらいたいと思います。

さて、4月からと言えば、労働法制が大きく変わる時期でもあり、年次有給休暇の時季指定、労働時間状況の客観的な把握、時間外労働の上限規制などが義務化されることになっています。そうはいっても、医師の労働時間については2024年度からの規制になってはいますが、一般的な医師の休日を含めた時間外労働が「原則、月100時間未満、年間通して960時間以内」とされる一方、地域医療を担う医師の場合は「特例水準」を設けて「年1860時間」とするとされています。年間960時間の時間外労働と言えば月80時間で、過労死ライン。特別にこの2倍を認めるとこともできるというのはあまりにも非常識と労働界から意見が出ていますが、この現状で地域医療や医療経営が成り立ち、大半の医師は倫理観や使命感で労働者としての感覚がやや薄いので、国・医療界・労働界がせめぎあっています。また、医療界と言っても病院経営者・労働者としての医師・医師を養成して供給する側と受ける側などの利害や立場が錯綜して調整には一定の時間がかかると見込まれています。

いずれにしても、医師の働き方改革には、医療従事者には過剰労働を押し付け、患者家族には経済負担を押し付けながら、安上がりな医療を続けるという日本の医療の本質が透けて見えています。年余をかけた地域枠医師の増員効果や医師の偏在対策を前提にした改革とは言え、単純で拙速な形で働き方改革が進めば、高齢化で医療サービスの総量は増えながら医師の労働時間だけが減って、相対的な医師不足に拍車がかかり、結果的には患者にしわ寄せがおよび、医療経営は破たんすることになりかねません。医師の働き方改革も一つの時限爆弾になり得る課題として注目していただきたいと思います。