病院、診療所、介護事業所で働く職員のみなさん、それらの事業所をバックアップする職場で働くみなさんに心から敬意を表します。
「現在私たちが直面している問題は、恐らくかつて民医連が経験したことがないような種類の難題だと思います。どう対応したらよいのか日々の情勢の変化に機敏に対応することが求められています」(増田全日本民医連会長訴え)
今私たちは、新型コロナウイルス感染者の増加に伴い、この地域でも医療崩壊をどう食い止めるのかという課題に直面しています。
医療崩壊については、新聞・テレビでも盛んに報道されていますが、近隣の中核病院でも重症者、中等症患者、陽性が疑われる疑似患者、陰性化を待つ軽症者等が混在してあふれ、新規患者を受け入れるベッドの余裕がなくなり始めています。その影響が周辺医療機関に及び始めて、汐田総合病院がこうした患者の一部を受け入れなければ、地域医療に大きな支障が生じる状況になってきています。新型コロナウイルス患者への対応を定めた「神奈川モデル」では、陽性の中等症患者を受け入れる重点医療機関を支える協力病院の役割が定められ、感染が疑われる疑似症患者の陽性判明までの受け入れ、陰性判明後の患者の受け入れなどの協力的役割が期待されています。その他、PCR検査を集中的に行う検査場の設置や軽症患者が療養する施設の確保などが全県的に定められ、実践段階となっていますが、今後の急激な患者の増大に備えて地域をあげての体制整備が急がれているのです。
汐田総合病院は、このような新しい感染症患者を想定した特別な施設整備をして造られてはおらず、また、医療資材の欠乏が続く中ではありますが、受け入れ先の無い患者さんの受療権を守るためにも、地域で奮闘する中核病院の負担を少しでも軽くするためにも、感染症予防に対する創意と工夫と責任感を基に、苦渋の選択として「重点医療機関協力病院」としての役割を病院が担おうとしています。前に進むことも大変ですが、座して守りに徹しても医療崩壊を防ぐことができず、患者・地域の期待に沿えない状況になることが予想されます。
もう一つの課題は、外出自粛や休業要請が社会経済に与える大きな負の影響が法人グループにも生まれていることです。汐田総合病院の3月期の事業収益は、入院は予算比1割減、外来、健診は2割減の状況でした。4月は、さらに病院、診療所、介護事業所の患者・利用者減が拡大し、大きな収益減が見込まれています。新型コロナの収束は未だ見込めず、収束までの道のりは長期になることが予想され、私たちは2020年度上半期だけでも7億円近い減収を覚悟して運営に当たることが必要と考えています。
しかしこれらの減収を借入金だけで凌ぐのではなく、現状の患者減少に合わせ、職員あげての働き方の見直しも積極的に行い、➀ワークシェアや時差出勤の検討による時間外ゼロ、➁特別休暇、休業指示の導入、➂職員配置の見直し、➃その他を段階的に実施し、患者・利用者のいのちと暮らしを守り、職員の雇用と生活を守るためにも、法人事業の継続を図らなければならないと考えています。
目の前の危機を共に乗り越えるために、かつてない対応を迫られていることを役職員が理解し、心を一つにして対応できるよう、協力をお願いする次第です。