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5月理事会 理事長あいさつ

2020.6.03

新型コロナ感染症への対応が続いています。全国的に見れば自粛解除の方向に向かう都道府県が増えてはいますが、神奈川ではまだまだ市中感染と病院・施設での感染が続く状態となっています。この間、汐田総合病院をはじめとするグループ法人の各事業所では、感染対策と患者利用者サービスの両立を、職員の涙ぐましい努力と患者利用者・そして家族の理解のもとにぎりぎりの状況で続けてきています。お蔭で、今のところ感染対策上の問題で大きなトラブルをきたすこともなく、病院では行政が認証する新型コロナ疑似症患者の受け入れを、神奈川モデルという大きな枠組みの中で軌道に乗せ始めています。

こうした経過の中で顕在化してきたのが、今日も議論する法人全体での経営問題です。医療資材不足などの厳しい環境でも在宅や介護分野の事業所、一部診療所での健闘には目覚ましいものがありましたが、影響の大きかった病院では、4月度決算が予算対比で入院7%、医科外来25%、歯科外来30%の収入未達があり、大変厳しい状況となりました。こうした経営状況を見越して、どのように法人経営を維持してゆくかを本日議論したいと思っています。とりわけ職員への痛みを伴う給与削減などは安易に行うべきものではありませんが、検討せざるを得ない状況です。本日の審議の中で、理事の皆さんへのお願いも含めて、十分な審議を頂ければと思います。

さて、新型コロナウイルスの世界的な大流行:パンデミックによって、沢山の考察や論考が世の中に出て、コロナ後の日本や世界の在り方について、大変示唆に富む意見に接することが多くなりました。いろいろな見方がありますが、世界的視点では、市場原理に任せて利潤を最大化するグローバリズムや新自由主義の是非、資本主義の下での格差の広がりと環境破壊への問いかけ、今回のような世界的危機を自国第一主義で乗り越えるのか、国際社会の秩序と協調を取り戻すべきなのか等々、今回のパンデミックは日本と世界の在り方を問う絶好の機会を提示してくれています。日本国内でも普段から、見てみぬふりをしてきた沢山の社会問題が、コロナ禍で一気に顕在化しています。これらの問題にしっかり向き合えるか、国民も政治も試されていると思います。

3月の理事会で、新型コロナウイルス問題は、私たち組織とっての「奇貨:またとない機会」にできるか、単なる「奇禍:思いがけない災難」で終わらせるかは、我々の構え次第になると述べました。これは今や、日本や世界に住む人々にとっての共通課題になっているように思います。コロナ後に「世も末だ」と嘆くのではなく、「世の中捨てたものではない」と言って乗り越えられるよう、役職員あげて頑張りたいと思います。