全国的にも神奈川県でも、新型コロナ感染症の新規患者発生数は次第に減少基調にはあるようですが、依然くすぶり状況で、ワクチン接種の効果もこれからで、変異型の出現もあって予断できない状況です。
そんな中での目下の焦点は、五輪・パラ五輪の開催の是非です。先日の国会での党首討論でも多角的にこの問題が話題になっていましたが、感染拡大に対する五輪開催のリスクについて、首相がまともに答えない不誠実な態度というか、答えられない無責任な態度というか、国民を守る最終責任者が誰なのか全くわからない空しい議論に終始していました。引き続き自粛や感染対策を強いられている国民や、経営がひっ迫している飲食店その他の経営者にはどう響いたでしょうか。
そうはいっても、各自治体に分散して協議が行われる仕組み上、神奈川県でも他人ごとではなく、県が主導して関係市町村や組織委員会、関係団体からなる協議会を設置して、開催に向けた現実的対応、具体的課題を協議し始めています。黒岩知事は、先週の協議会後の会見で、論点が大きくは3つと総括し、一つは選手団と関係者のバブル化の問題、二つ目は国内在住者の人流問題、三つ目に外部患者の受け入れ問題(これが我々医療機関への直接問題)と述べていました。今日の2回目の協議会では、たくさんの論点に細分されており、きめ細かい対応の方向が示されているようですが、いくつかの盲点もあるように思われます。
一つは、大会関係者の輸送に従事するバス乗務員が全国で延べ8万人近く動員される(8日夜の組織委員会公表)。乗務員向けのワクチン接種計画はこれから。彼らは当然公共交通機関を使用して自宅と勤務場所を往復し、バブル内にいるとされる選手や関係者と接することになるでしょう。
二つ目は、選手取材にあたる国内メディアスタッフはどうなのか?NHKだけでも700-800人体制とのことで、彼らがバブルに接触することはないのか。上記の運転手と同様の問題はないのか、ワクチン接種は済ませているのか。
三つ目は、数万~10万人規模となるボランティアへの対策はどうなっているか? などです。
五輪の結果を引き受ける医療側としては、組織委員会や神奈川県の感染対策、バブル構想に大きな穴が開かないように、とお願いせざるを得ません。