9月いっぱいかけての自民党総裁選挙が終わり、やっと国会が開かれたら、いまは解散後の衆議院解散総選挙の真っただ中です。幸いにも第5波がおさまり、第6波への準備をする中での選挙となり、国民がこれまでの国のコロナ対応やコロナで明らかになった多くの社会矛盾に対する政治の役割について考える良い機会が与えられたとも言えます。衆議院選挙は4年ぶり、9年間にわたる安部・菅・岸田の3内閣にわたる自公政権の評価が問われる選挙です。
昨年1月の横浜港に寄港したダイヤモンドプリンセス号以来、1年数か月にわたる新型コロナと戦いで社会における格差問題は格段に深刻化し、与野党ともに『分配』の必要性を前面に出さざるを得ない状況になっています。しかし、「成長と分配の好循環」とか「分配なくして成長なし」とかのあいまいな議論ではなく、「成長の果実を社会の隅々にまで行き渡らせる」と約束しながら、結果的に「空約束」に終わったアベノミクスの考え方との違いや是非を明確にしないと説得力がありません。お金は上から下へ滴り落ちずに上にだけ滞留し、だれでも気合を入れれば自分で何とかできると言われても皆が自助できるわけでもなかったのですから、その原因を正さなければならないはずです。
社会保障の観点から日本社会の現状を分析すると、今の日本は3層に分断されているそうです。上層には正社員として社会保険に入れる安定就労層。下層には生活保護を受けざるをえない福祉需給層。そしてその中間に社会保障の支援が届いていない新しい生活困難層が拡大している。そして、この3層間で相互不信が強まっているのが現状という見立てです。これは、私たちが仕事の中で実感する状況と思います。この中間に位置する新しい生活困難層は、働けるけれどもいろいろな困難、住居、家族介護、子育て、教育の問題などを抱えています。しかし、そこに手当をして無理なく働ける条件つくりをすれば、誰もが活躍できる社会、それこそ本当の意味での一億総活躍社会つくりになるはずですが、現状はそうなっていません。
人から集めた税金を、社会に必要な形に変換して再分配するのが政治の役割と思います。成長ありきで、あとはトリクルダウンと自助頼みのアベノミクスからどう転換するのか、環境面で持続可能な経済をどう作るか、デジタル化の推進、ジェンダー平等など、様々な切迫した問題の解決にとって大変重要な転機となりえる選挙が迫っています。まずは「選挙に行こう」を職員に訴えるところから、対応してゆきたいと思います。