政府は13日、個人番号カードと健康保険証を一体化するために「2024年度秋に現在の健康保険証の廃止を目指す」と表明しました。誰もが使う健康保険証の機能を同カードに一本化することで法律上「任意」とされてきたカードの取得を事実上強制するものです。これに対して全国から抗議の声が広がっています。大阪府保険医協会は「保険証廃止に反対し、強権的な方針に抗議する理事会声明」を発表しました。保険証を廃止して個人番号カードに一本化することに反対するネット署名も急速に広がっています。署名のコメント欄には「今の政府、政権に私たちの情報を預けることはできません。嘘と隠蔽にまみれ、情報管理などもできない」「カルトを断ち切らない政府に個人情報を差し出すなんて、薄気味悪さしかない」等の意見が寄せられているそうです。野党からは「(個人番号カードに理解が得られないのは)政府が信頼されていないからだ。ここに一番の問題がある。個人情報がすべてひも付けされ集積されるやり方で個人情報が守られるか、国民は強い懸念を持っている」「ポイントという『アメ』でカードを持たせようとしてきたがそれも進まず、今度は『ムチ』で、健康保険証、運転免許証のひも付けをしようとしている」(日本共産党の志位和夫委員長)との見解が出されました。
通称「国民総背番号制」として、1968年に佐藤栄作内閣が導入をめざしてから半世紀を経て、政府与党・霞が関の官僚らの悲願であった個人番号は法制化されました。社会福祉法人うしおだの監事である浦野広明さん(立正大学法制研究所特別研究員)は制度の導入時に「政府は、個人番号制度を徴税強化や福祉サービスの削減などに使おうとしています…」 「大企業優遇税制と庶民増税をさらに進め、社会保障は切り捨てる。それを担保するため」と制度の根幹を喝破されています。この間政府は前述のようにマイナポイントなる、国民に二万円を与えるキャンペーンで個人番号カードの普及を図ってきました。私にも医師関係の業者から「アンケートに答えたら五千円プレゼント」等の案内が時に届きます。提供金額以上の個人情報を求められることは自明ですが、政府が個々の国民に我々の血税を用いてまで普及を図っているのです。為政者にとってどれほどの利益があるかは、推して知るべしと言えるでしょう。志位さんが述べるように、そうした「アメ」でだめなら「ムチ」というのが、今回の保険証廃止政策だと考えます。政府が国民の権利を守ろうとしない時、例えれば韓国における「ろうそく革命」のように決然と立ち上がることも、我々には求められているのではないでしょうか。
一方でデジタル技術進歩の恩恵を、地域住民が享受できることも重要です。すでに私たちは「サルビアねっと」等で多くの個人情報を患者さまよりお預かりしています。今回の理事会でも議案になっていますが、電子カルテの不適切な閲覧等の行為はそうした皆様からの信託を裏切り、ひいては協会グループへの信頼を失わせるものであります。そして全ての役職員が個人情報の扱いにより神経を遣い、間違っても現政権のように人々からの信頼を損なうことの無いように、業務を進めてゆくことが必要と考えます。