先月行われた統一地方選挙では、神奈川県、そして横浜市の今後を担う首長・地方議員が選出されました。この地域で活動するわたし達としても強い関心を持ってまいりました。全国に目を転じて、特徴的な結果があらわれた東京都杉並区と兵庫県明石市の結果を振り返ってみます。
杉並区では定数48名の区議会で女性議員が過半数を占めるようになり、また前区長を支えてきた多数の自民党・公明党議員が落選となりました。この変化は、2021年の衆議院選挙で「市民と野党の共闘」の候補者が当選したところから始まっているようです。翌2022年6月には、この枠組みに多くの市民運動が加わり、現在の岸本聡子新区長が誕生しました。そして今回の区議選では野党系の女性新人候補が続々と立候補し当選しています。
背景には、投票率が前回から約4ポイント増加したことがあると言われています。政治のプロではない女性たちが立候補して選挙がより身近になり、現職を追い落とす結果につながりました。また新区長に賛同する野党系候補者が、党派を超えて共同で街頭宣伝を繰り返し区民の関心を高めました(石井彰氏の論考による)。
兵庫県明石市は、前市長の施策を引き継ぐか否かが問われた選挙でした。明石市は「こどもを核としたまちづくり」を理念として、18歳までの医療費・中学生までの給食費・第二子以降の保育料・親子の遊び場利用料・満1歳までのおむつ代のすべてにおいて所得制限・自己負担なしの無料化を実現しています。今回の市議選では前市長が支援した新人候補らが次々当選し、市長選でも後継指名された候補者が、自民、公明推薦の元市議らに圧勝しています。
両自治体に共通しているのは、日常の市民運動や選挙を通じて議会や首長に「市民の声」を聴かせる取り組みが持続している点です。明石市では「市民自治あかし」という政策提言市民団体が、市民主体の街づくりを目標に長らく活動しています。ただ、両自治体ともに投票率は50%を割っており、この点では神奈川県・横浜市の状況と重なっています。お任せ民主主義ではなく、市民が自治体の主役として不断の運動を続けることが重要ではないでしょうか。