政府は現行の健康保険証を廃止し、個人番号カードと健康保険証を一体化する方針を強引に打ち出しました。しかし個人情報の漏洩が相次ぐなど、多くの混乱が起こっています。
昨年10月の理事会挨拶でも、個人番号制度について「大企業優遇税制と庶民増税をさらに進め、社会保障は切り捨てる。それを担保するため」「政府は、徴税強化や福祉サービスの削減などに使おうとしています」との指摘を紹介しました。
個人番号制度導入時の2013年、財界の代表らは同制度について「個人の所得のみならず資産も把握して、医療費・介護費の自己負担割合に差をつけ、結果的に医療費・介護費の削減につなげる」と主張し、あわせて法人税率の引き下げも提言しており、財界の本音が述べられていると思います。
2021年4月の経済財政諮問会議で財界の代表は、個人番号制度を徹底活用し「能力に応じた給付と負担を実現できるよう所得のみならず預貯金などの資産の情報とひも付いた仕組みを検討すべき」と迫っています。個人番号制度から得た国民の情報を、社会保障費抑制・国民負担増の為に利用しようという政府・財界の考えが明らかではないでしょうか。
さらには、個人番号を利用して国民の個人情報をデータ化し、金もうけの道具としたい財界の意向があるといわれています。岸田政権は個人番号の利用範囲を省令で広げられるように法改定を行いました。個人番号にあらゆるデータがひも付けされ、これがビッグデータとして大企業に利用されてゆくことになります。これもまた財界からの「蓄積された様々なデータが…個人や民間企業の自由な発想に基づくイノベーション創出に活用され…データを起点とした経済成長が加速していく社会」との提言を受けてのものです。
個人情報は信条、思想の自由など私たちの基本的人権にかかわる大切なものです。引き続き健康保険証廃止反対の声を上げてまいります。