この間、私たちの法制度や公の組織というものに対する信頼を根底から毀損する「政府統計データの不正問題」などがあり、安倍政権の破たんした政治について言うべきことは山ほどありますが、今日も沖縄問題を取り上げたいと思います。
いよいよ明日の24日に、沖縄県では辺野古新基地建設の是非をめぐる県民投票が行われます。先週末、私用で沖縄に行った際には、主要な辻々に沢山の人がスタンディングして、新基地建設反対の投票を促す宣伝行動をしていました。期日前投票の実施率も従来の県知事選挙よりも高いと報道されています。
さて、こうした中、今週月曜日の2月18日は安倍政権と仲井眞元知事が5年前に約束した米海兵隊普天間基地の「運用停止」の期限だったことを現地の新聞報道で知りました。しかし、現在の日米合意の下では、もはや普天間基地の返還は不可能であることが誰の目にも明らかになってきています。なぜなら、その前提に名護市辺野古への基地の移設≒新基地建設が条件になっているからです。しかも、その辺野古埋め立てには、軟弱地盤の問題、地盤改良工事の技術的困難さ、地盤改良に必要な設計変更許可をデニー知事が承認することはあり得ない等の条件が重なり、まともに考えれば、物理的にも法的にも政治的にも新基地建設は不可能と言われています。それでも工事を強行すれば、辺野古は沈下し続ける基地となって、米軍が「普天間代替施設」と認証してくれるか見通せない可能性もあり、結果的に、貴重な自然を破壊して、役立たずの基地をつくり、普天間は返還されず、国民は何兆円もの建設費を負担させられる、という天下の愚策によって沖縄と日本が翻弄される事態になります。
万万が一まともな新基地が辺野古にできたとしても、「普天間を使い続ける」という話が米軍関係者から平然と出ているという話もあります。なぜなら、辺野古の滑走路は1800メートルしかなく、滑走路が2700メートルもある普天間の代替施設には基本的にならないからです。そして外部からの攻撃にも脆弱で、気候変動による海面上昇や自然災害が増えている昨今、軍事基地を沿岸部に建設する時代ではないとも米軍事専門家は言っています。
こうした変化する背景を無視して、思考停止してか、変化への対応力を失ってか、政権は辺野古新基地建設に固執し、「県民投票の結果に関係なく進める」と、これから示されようとしている民意まで平然と無視する態度を表明しています。これではすでにこの国は民主主義国家ではありません。沖縄の気持ちに寄り添うどころか、国はいよいよ沖縄という県を日本から突き放そうとしているようにさえ感じます。こういう政権の態度を是とするか、非とするのかを沖縄の県民投票は国民全体に問うていると思います。その結果とその後の国の対応に引き続き注目してゆきましょう。