今年の8月は例年にない暑さが続き、すっかり「危険な暑さ」という言葉が定着しました。これも地球規模での気候変動の一面に見えますが、その暑さの中でも新型コロナウイルス感染症拡大には収束の気配が見えません。この新興感染症も人間が環境破壊を続けてきたことと関係して起きており、気候変動と同じ根を持つ「地球環境の危機」です。危機の被害は生物学的・社会的弱者に集中します。いまこそ自己責任ではなく、社会的救済が必要なのに、新自由主義の下で進んだ公衆衛生や医療、社会保障の縮小が被害の防止を妨げ、格差と貧困の問題が事態をより困難にしています。
新型コロナウイルス感染症で明らかとなった様々な矛盾や困難が、具体的な数字となって明らかとなったのが17日に内閣府が発表した2020年4-6月期の国内総生産速報値でした。それは前期比7.8%の減、この成長が1年間続いた場合の年間換算率で27.8%の減少という、戦後最悪、リーマンショック後を超える落ち込みを示す数字でした。昨年の消費税増税にコロナが追い打ちをかけたと言われていますが、今の政府の対策は感染防止と活動再開の狭間で揺れ、首相も出てこず、国会は閉じられ、政治の無責任が国民を置き去りにしている感があります。WITHコロナの時代が「以前の日常」に戻ることではないとするなら、コロナ禍が社会や経済に大きな構造変化を迫っていると正面から受け止め、国を挙げて「新しい日常」を作ることが必要であり、それが政治の役割というものでしょう。すみやかに国会を開いて、首相も各政治家も、今こそ給料分の仕事をしてほしいと思います。
さて、そんな状況下でも、医療と介護の現場では高い緊張感を伴う日常が続いています。WITHコロナ時代の医療と介護は、いつ、どこに感染した患者・利用者・職員がいてもおかしくないリスクを背負う中での仕事になる可能性があります。そうした環境を安全にするためにも、私たちはPCR検査の戦略的拡大を求め、感染伝搬の抑制を図りながら安心して医療介護の仕事ができるように求める必要があると思います。それが、ひいては感染防止と経済再開を両立させ、「新しい日常」を作り上げるための社会基盤になるはずです。
このコロナ禍がもたらす影響は深刻ではありますが、私たち一人一人が、法人の将来を考え、この国の「新しい日常」や「政治の在り方」を考える契機として行きたいと思います。