2020年の一年がようやく過ぎようとしていますが、並々ならぬ職員の奮闘により今を迎えていることに法人として感謝しなければなりません。全国的には新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、厳しい年末年始が予想されます。神奈川県でも、来年早々には確保された感染症病床が埋まり、一般医療の病床さえもひっ迫すると警鐘が乱打されています。政府はGOTO事業の見直しを宣言したものの、一度緩んだ国民の気持ちを引き締めるのは大変なことで、まして政治家トップが夜の会食をしたり、政治家の不正報道が重なれば、国民は政治家の言葉に従うはずもありません。
いま、その政治家の代わりに一生懸命訴えかけているのが、日本医師会、病院団体、看護協会などの医療関係団体です。先日の21日には、4師会と4病協が合同で「医療緊急事態宣言」を発出し、「日本国民が一致団結して、新型コロナ感染症を打破する意を決するときは今しかない」と政治家や国民に訴えました。宣言は、▽国や地方自治体に、国民への啓発並びに医療現場の支援のための適切な施策を要請し、▽自らは国民の生命と健康を守るため、地域の医療および介護提供体制を何としても守り抜く決意を示し、▽国民に対しては、引き続き徹底した感染防止対策をお願いする―という3つの柱から成っています。
日本医師会の中川会長は、「今の医療の現状は通常の病気の治療も後回しにせざるを得ない状況」「日本の医療制度は風前の灯」などと強い危機感を示し、「万全の感染防止対策こそが、結果として最強の経済対策」と述べ、過酷な医療現場で献身的に働く医療者に思いをはせ、国に対策を講じることを要請しました。その他、日本病院会の相澤会長は、国民一人一人の努力では限界に来ているとし、「国が先頭になって、地方自治体と連携して、国民の移動や行動を制限することを政策として掲げていく必要がある」と訴え、東京都医師会の尾崎会長も、東京都の医療危機を訴え、「救える人が救えなくなる。ロックダウンに近いこと、緊急事態宣言を出してもらいたいという要望を受けている」とまで述べています。この「医療緊急事態宣言」は、現時点の関係団体の危機意識を集約したものですが、これに対する日本国の政治に携わる人たちの危機意識はどんなものなのでしょうか。
私たちは、適切・迅速な国のリーダーシップを要望すると同時に、日本の医療界をけん引するリーダーたちの責任感ある言動に呼応して、長引く緊張感と自制の連続で疲労困憊する状況ではあっても、目先の楽しみに気を緩めることなく、この年末年始を、節度を持って過ごしたいと思います。そして、連帯・連携しながら地域の医療と介護を守り、すぐそこに迫った医療崩壊を防ぐべく、それぞれができる限りの努力をいたしましょう。年末年始を無事に乗り越えるために、全職員の協力もお願いする予定です。