オミクロン株による第6波の新規感染者数がようやく減少し始めましたが、いまだ高水準ですし、1日当たりの死亡者数も過去のどの波よりも多い状態が続いています。当初は「重症化しにくく、致死率が低い」とみられていたオミクロン株ですが、なぜ多くの方が命を落としているのでしょうか。専門家の分析などからいくつか紹介します。
第1に言えることは、あまりにも感染拡大の波が大きかったことです。これだけ母集団が増えてしまえば、重症化の確率が低くても、その絶対数は大きな数となり、死亡者も増えざるを得ないということです。これは当初から予想されていました。
第2は、重症者に占める高齢者の割合の多いことです。昨年夏のデルタ株による第5波では高齢者はワクチンによって守られていたため、重症化したのはワクチンの恩恵にあずかっていない40-50代の人たちでした。今回の第6波の場合はワクチン接種がほとんど間に合わない状態で感染拡大を迎えていますので、家庭内や施設の高齢者がいま大きな感染の波に襲われています。横浜市のワクチン接種の遅れは政令指定都市でも最悪で、国の判断が悪かったとはいえ、これは大変残念なことでした。
第3は、重症高齢者の多くはデルタ株のようにコロナ肺炎で重症化するよりも、もともと患っていた心臓・腎臓・肺などの慢性疾患の悪化で重症化する人が大半と言われていることです。これだけ新型コロナの有病率が高くなれば、一般の病気の悪化で入院してきたと思われた人がコロナ陽性と判明したり、コロナで自宅療養中にほかの疾患を発症して入院してくる例などが増えるのも当たり前で、病院ではコロナ感染症とひとくくりにできない多様な対応に追われてきました。
第4は、第6波の困難な点の特徴として、マンパワーの不足による病院運営の困難があります。学校・保育園・職場で家族が感染して濃厚接触者になる職員が増えており、その結果、どこの病院でも病床をフル稼働させることが難しくなっています。そうした結果、コロナ患者も一般患者も入院することが困難な状態、救急搬送困難な状態が続いています。
こうした不正常な状態をもとに戻すには、第6波の大きな波をとにかく収束させるほかはありません。「ピークアウト」などという声を聞いて気を緩めることなく、ワクチンの追加接種や基本的予防策の継続など、引き続き頑張らねばと思う次第です。