サッカーワールドカップが幾多の熱戦ののちに終幕しました。日本代表をはじめとするアジア各国の健闘、アフリカ大陸から初のベスト4進出などがありました。スポーツを通して世界の人々が友好を深められることが改めて確認できたと思います。
いっぽうでロシアによるウクライナ侵略戦争はこの間もやむことがありませんでした。そして政府は12月16日「台湾有事」をあおりながら「国家安全保障戦略」など安保3文書を閣議決定しました。歴代政権が違憲としてきた敵基地攻撃能力(「反撃能力」)の保有を明記し、戦後安保政策の根幹である「専守防衛」を国民的議論もなく放棄するものです。内容は、日本が攻撃されていないもとでも米国からの要請があれば「存立危機事態」として敵国の基地攻撃も可能とし、攻撃を実行するため米国製の長距離巡航ミサイル・トマホークなど大量のミサイルを配備する計画が盛り込まれています。
政府は防衛費大幅増の財源として、2027年度に増税で1兆円強を確保するとしています。法人税、所得税、たばこ税の増税を税制改正大綱に明記し、更には国立病院機構と地域医療機能推進機構(JCHO)の「積立金」の早期返納を検討していると伝えられています。今後様々な形で医療・介護・福祉関係の予算が、岸田政権が実現を狙う軍事費2倍化の財源のターゲットになることが予想されます。
そうした中、12月18日に横浜市で戦車阻止闘争50周年記念行事~「ベトナム行き戦車を止めて50年」のつどい~が開催されました。1972年、アメリカのベトナム侵略戦争に反対する市民が立ち上がり、東神奈川のノース・ドック手前の村雨橋でベトナム行きM48戦車を止めたたたかいに、民医連も医療支援を行いました。この経験を、現在に生きるわたし達がどう生かしてゆくかが問われています。
現在日本と中国は経済・貿易面で互いに大きな関係を築き、相手国内で暮らす自国民も多く、戦争は全く考えられない状況です。にもかかわらず岸田政権と中国の習近平政権が「台湾危機」をことさら叫ぶのは、国民の不安に乗じて自分たちの政権を維持するため、そして軍事費を増額して軍産複合体に金儲けの機会を与えるために他なりません。50年前の戦車闘争が一定の成功を収めた背景には、侵略戦争に反対する国民の支えがあったと言います。この2022年末、人々に正確な情報をお伝えし「戦争国家NO・医療介護福祉充実」の世論を広げてゆく事を、皆さんに呼びかけたいと思います。