全日本民医連は、「かかりつけ医機能が発揮される制度整備」に対する見解を発表し、国に対して丁寧で慎重な議論を呼びかけています。本日はこの「かかりつけ医機能」の置かれた状況と当法人の立場についてご紹介させていただきます。
2023年2月10日に政府が閣議決定した「全世代型社会保障法案(正式名称;全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案)」は、衆議院本会議で可決され、現在参議院で審議中です。この法案の中で政府は「かかりつけ医機能」として①継続的な医療を要する者に対する発生頻度が高い疾患に係る診療その他の日常的な診療を総合的かつ継続的に行う機能、②通常の診療時間以外の時間に診療を行う機能、③病状が急変した場合その他入院が必要な場合等に必要な支援を提供する機能、④居宅等において必要な医療を提供する機能、⑤介護サービスを提供する者と連携して必要な医療を提供する機能の5項目を示しました。
一つ一つの項目は真っ当なものですが、かかりつけ医機能が法制化されること、また診療報酬の誘導等でかかりつけ医機能が変質させられる懸念があるとしています。これまでも200床以上の病院に対して、選定療養費を徴収する病院を拡大し、患者のアクセスを制限してきた経過があります。今後紹介受診医療機関制度整備がはかられる中、患者の受療権が侵害される事態につながることが懸念されます。いっぽうで「2040年ごろにかけて都市部を中心に、高齢者の人数増加、医療従事者の不足が予想され、限られた医療資源について役割分担を徹底させることが不可欠」とも言われています。全日本民医連は、絶対的な医師不
足を解消することを強く求めています。人口10万人あたりの医師数で47都道府県中38位の神奈川県において、現在の医学部の学生定員が大幅に増員されたとしても、その者たちが専門教育を終えて臨床医として活躍できるまでには今後10数年を要します。その間本協会の院所がある地域でどのように地域医療を守ってゆくかが、わたし達に課せられた課題です。総合病院と協会内の診療所群が「かかりつけ医機能」を分担して担当することが求められていると考えます。通常の診療は診療所群が担い、より専門的な外来機能を総合病院で、仮に選定療養費が導入されてもその負担なしで紹介受診できる仕組みを構築すべく、外来の機能分化に着手しています。
今後の外来機能の変更に際しては、友の会の皆様のご理解とご協力を頂きながら進めてまいります。随時忌憚のない、発展的なご意見を頂戴できれば幸いです。どうぞよろしくお願い致します。