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2024年7月 理事長挨拶

2024.7.01

本日は、私たちが暮らす自治体において重要な役割を果たしている議会・首長のありよう について述べさせていただきます。皆様ご存知の通り地方自治は民主主義の基盤であり、地 方自治への参加を通じて住民が民主主義の在り方を学ぶという「民主主義の学校」であると 言われています。

この地方自治体において何が起こっているのでしょうか。当協会顧問でもある木佐木た だまさ県議の報告によれば、神奈川県議会においては県内・県外視察の実施方法・行程など については、木佐木県議と彼以外の 12 人のグループに分かれて視察を行うことが決められ ています。こうした耳を疑うような対応は、2015 年から 10 年も続けられています。排除の 発端となったのは、2015 年当時の県民企業常任委員会で水ビジネスの海外展開を進めるた めにベトナムへ視察に行こうという提案に対して共産党が反対したことだったそうです。 木佐木県議らは「意見が異なるから会派が違い、様々な観点から意見を出し合うことが議会 の多様性や民主主義にとって重要なのではないか。意見が異なるから一緒に視察に行けな いというのはおかしい」と意見を述べてきましたが、排除を提案した自民党とそれ以外の他 会派も姿勢は変わっていません。学校でのいじめ根絶を横浜市等が目指す中で、あまりに子 どもじみた対応が県議会で行われていることには心底驚きを禁じえません。

またお隣の東京都では、三選された現知事が議会で答弁に立たず、それを言論で批判した 野党都議が除斥(強制的に委員会室から連れ出される)されるという事態まで起こっていま す。そして兵庫県においては、現職知事のパワハラが問題となっています。知事の職権乱用 を内部告発した事で処分された県民局長の男性が亡くなっており、自殺とみられています。 2022 年に施行された改正公益通報者保護法は、企業や官公庁で不正を通報した人の保護を 定めていますが、十分に機能しているとは言い難い状況です。

そして先の都知事選で二位に食い込んだ前安芸高田市長に至っては、議員や記者に対し て、公開 DV ともいえる人格否定、ハラスメン的なとのやりとりを続けていた模様です。危 険なのは、 そうしたハラスメント動画が面白おかしく切り取られ、 その模様を報じた YouTube が多くの再生数を得ているという事実であります。ジャーナリストの鈴木エイト 氏は「カルトや自己啓発セミナーなどの手法を採り入れているとも言える。判断力や人生経 験、対人関係の訓練が未熟な人たちはこの手のある種『強烈なもの』に取り込まれやすい傾 向がある。」「演説手法は…マルチの集会で聴くような語り口であり、その扇動ぶりに、かな りの危うさを抱いた。カルト問題を長年取材してきた私にとって、今回の都知事選で最も危 ういと感じたのは石丸伸二氏だったという結論になる。」と記しています。

政治家たちの言動をチェックする、そして真に国民のために奮闘している議員の皆さん を応援する意味からも、私たちが積極的に議会傍聴に出向くことを提案いたします。